【オンラインWS導入事例】コニカミノルタ株式会社 対話を重ねて、心の奥深くにある「自分のWill」を見つける
SDGsを入り口にして、“ありえないくらいワクワクする未来”を参加者の皆さんに模索してもらいたい――。そんな思いから、「自分のWillを見つけよう!~SDGsの本質を理解し、未来を考える」と題したオンラインワークショップを2日間にわたって実施したコニカミノルタ株式会社。主催したのは、社内有志団体「LETS」のメンバーである角田旭さんと本谷昭博さんです。イントラネットを通じて告知を行い、全国に広がるさまざまな部署から21名が参加しました。ワークショップでは、参加者の反応を踏まえて2日目の内容をフレキシブルに変更。オンラインならではの強みを生かし、対話を重視することで参加者の内省を促しました。
【実施概要】
1日目:SDGsに関するレクチャー、小グループでのダイアログ、ワールドカフェなど
2日目:内省と対話、ワークを通しWillを探求し、ワクワクする未来を描く
※Web会議システム:Zoomを使用
――オンラインワークショップを実施するにあたって、「こんな内容にしたいな」というイメージは最初からあったのですか?
本谷 カードゲーム「2030SDGs」のワークショップを2020年3月に開催するつもりでイマココラボさんと準備を進めていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期に。集合してのワークショップ実施の目処が立たないため、オンライン形式でのワークショップ開催をイマココラボさんに相談しました。それが5月ごろのことです。そこから打ち合わせを重ねて9月の本番を迎えたのですが、オンラインでワークショップを主催するのがそもそも初めてだったので、試行錯誤の連続でしたね。
角田 「自分のWillを見つける」というテーマに沿って、“ありえないぐらいワクワクする未来”というキーワードを想起させるようなワークショップを実施することは、カードゲームの準備段階ですでに決まっていました。だから、オンライン形式でもその方向性は変えずにやりたいという気持ちでした。
――「自分のWillを見つける」のWillは、“未来”や“意思”を意味する英単語。ワークショップのテーマには、主催者お二人の想いが詰まっています。
角田 「皆で集まってカードゲームをやるだけでなく、参加者自身が何らかの気づきを得て、それを自分のアクションアイテムとして持って帰ってほしい」というのが念頭にありました。仕事人としてだけでなく、ひとりの人として何に興味を持ち、どんな未来を描くのかを模索することが、結果的には閉塞的になりがちな現状を変えることにつながると考えていたからです。
ワークショップのテーマに掲げた「自分のWillを見つける」ためのキーワードを、SDGsでも用いられているバックキャスティング(未来の姿から逆算して現在の施策を考える発想)でイマココラボさんと一緒に考えて出てきたのが、“ありえないぐらいワクワクする未来”という言葉でした。
――打ち合わせを重ねた結果、2日間、合計8時間のオンラインワークショップになりました。
角田 参加者のことを考えると、1日限りのワークショップのほうが都合をつけやすいはずです。実際、カードゲームは1日の予定だったので、オンライン形式でも1日でやりたいと思っていました。でも相談していく中で、オンライン形式では対話がメインになるので、時間が少ないと参加者が腹落ちするところまで行けないのではないかというアドバイスをもらった。そこで、対話の時間を多く設けるために2日間で実施することにしました。
本谷 今回のワークショップはSDGsが起点になっていますが、「SDGsを学ぶ」よりは、どちらかというと「自分のWillを見つけよう」という点に主眼を置いていました。そうは言っても、当初はこのワークショップに対する主催者側の僕たちのWillが明確に整理されていない状態。何度も打ち合わせをする中で気持ちや考え方を整理してもらい、ワークショップを2日間にわたって実施することを決められた。打ち合せにおけるイマココラボさんのファシリテーションにはものすごく助けられたと感謝しています。
それに、合計8時間のワークショップといっても、ずっとレクチャーを聞いたり、ワークをしていたわけではありません。“散歩の時間”と称して「一人でちょっと考えてみてください」みたいな時間も作ったので、参加者の皆さんも心の整理ができた。最終的には皆さんの腹落ちするところまで対話を深められたのではないかと思っています。
――連続講座にしたことで、参加者の皆さんがワークショップの内容に意識を向ける機会と時間をたくさん取れました。とはいえ1日目のワークショップ終了時には、お二人とも少しモヤモヤしたものがありましたね。
角田 「ワクワクする未来に向けて、今日からどのような行動を起こしますか?」という質問で1日目を終わりにしたのですが、そのとき出てきた回答は、どちらかというと個人的なことに終始するものばかり。私たちとしてはもっと大きい未来を見据えて、「自分は何がしたいんだろう」を考えてほしかったので、このままいくとふわふわしたままで終わってしまうのではないか、という戸惑いがありましたね。
本谷 「自分のWill」とは、自分自身の心の中の奥深いところにあるのと思っているのですが、そこに到達するには自分を見つめ直す時間、内省が必要です。でも1日目が終わった時点では、深いところまで行かずに、表面的なところでアクションアイテムを得てしまったという印象でした。
――お二人からの率直なご意見を受けて、急きょ1日目の終了直後に打ち合わせを設定。1日目の反応をもとに、2日目のワークショップ内容を作り替えていきました。
角田 1日目で「自分のwill」はある程度見つかっているから、2日目では何人かのチームになって話したいことを広げていく――というのが当初の予定でした。分科会やテーマづくりのイメージでしたが、1日目が終わった時点では対話が十分には深まっていないように感じていました。私たち二人の違和感をイマココラボさんに丁寧に深掘りしてもらった結果、2日目は「自分はどういう人なのだろう」に重きを置くことに変更したんです。
本谷 2日目の内容を変更すると同時に、2日目に向けて参加者の視座を高めたり、新たな視点を得るための題材としてイマココラボさんに短い動画などを選定していただき、2日目のワークショップまでの期間に参加者に見てもらいました。
――「仕事やいろんな枠をこえて、自分が本当はどんな未来をつくりたいのか?」「Willにふれて何かに気づき、行動を生み出してほしい」という、“起点”としてのお二人の軸が終始ぶれなかったので、内省に重点を置いたワークショップ内容への変更をご提案できました。自分自身について語るのは少し照れくささもあるのではと思いましたが、2日目の対話は活発でしたね。
角田 今回の参加者は年齢や性別、役職もさまざまで、ほとんどが初対面。同じ会社とはいえ、業務上は直接関係ない人が集まったこともありますが、1日で終わるのではなく、2日間の連続ワークショップということもお互いの関係性が深まり対話が活発化した要因だったと思います。
もう一つの要因として考えられるのが、仕事や健康、家庭やコミュニティーなどに分け、そのそれぞれが最高の状態が「ワクワクする状態だよね」という切り口をイマココラボさんに提示してもらったことです。これによって、漠然としていた「ワクワクする未来」を具体的に捉えられるようになった。丁寧に深堀りをしてもらったことで、参加者の皆さんもぐっと話しやすくなったのではないでしょうか。
本谷 個人的に印象的だったのは、1対1になって相手に「得たいもの」と「それがもたらすもの」を繰り返し答えてもらうワークです。そのワークを通して自分自身をとことん掘り下げていったことで自分自身についても新たな発見があり、またシェアしてくれたパートナーとの共通点やその人が大切にしていることを知ることができました。そういったプロセスを経て関係性がうまく築けたということかもしれませんが、ワークショップが進むにつれて対話の質も上がってきましたね。
例えばワークショップの中でビジネスチャットツールに感想などを書き込むタイミングがあったのですが、2日目のワークショップでは初回以上に皆さんしっかりと書き込んでくれた。その内容も1回目とは違って、他者とのつながりを感じさせる内容に変わっていました。モチベーションというか、気持ちに変化があったのではないかとうれしく思っています。
――2日間のワークショップを振り返っての感想を教えてください。
角田 「自分のWill」は普段あまり意識を向けることができないので、今回のワークショップで時間をしっかり取って模索した体験はとても意味があったと感じています。一方でこれは入り口というか、対話を重ねながら模索し続けていくものなのかもしれない、と考えているところです。
終了後のアンケートで「振り返りの会を開催したら参加するか?」と聞いたところ多くの人が「参加したい」と答えてくれました。なのでまずは、今回のワークショップに参加してくれた皆さんとの振り返りの会を計画中です。小さなことかもしれませんが、こういう草の根運動のようなことを続けていくことが大事なのかもしれません。
本谷 オンラインでのワークショップを主催するのは初めてでしたが、面と向かっては話しにくいけれど、画面越しにだったら伝えられるという心理もあることに気づかされました。オンラインであるがゆえに心理的安全性は高まるのです。そんなオンラインならではのメリットも感じることができたので、この経験を今後に生かしていきたいですね。
――今回のオンラインワークショップの大枠に関しては私たちからご提案させていただきましたが、かなり細かいところまでをお二人と一緒に、丁寧にプログラムを作り上げた印象があります。まさにコ・クリエーション(共創)の場でした。ありがとうございました!
このインタビューを終えて半月後、ワークショップの振り返りの会が開かれ、部署を横断してアイディアを持ち寄る新たなプロジェクトを立ち上げる機運が高まっているとお聞きしました。コニカミノルタ様の“ありえないくらいワクワクする未来”が、参加者の皆さまのワクワクと共に創られていくと感じています。