日本生命保険相互会社ニューヨーク投資現地法人 ~投資家の意識変革、資産運用を通じたSDGsへの貢献~

 

どんな背景から、この研修・イベントを企画・実施しようと思ったのですか?

日本生命のニューヨーク現地法人(Nippon Life Global Investors Americas, Inc. (以下、米国NLGIA))は、北米地域での資産運用業務を担っています。日本生命は国内最大級の機関投資家として、環境問題の解決や社会貢献に資する資産運用に積極的に取り組んで参りました。SDGsやパリ協定などの流れをふまえて、ESG(環境・社会・ガバナンス)を評価するESG投融資を強化しており、ESG債等への投融資7000億円の数量目標を掲げるなど、機関投資家として持続的な社会の実現への貢献を目指しています。

日本生命グループの資産運用会社であるニッセイアセットマネジメントも、SDGs達成に関係する事業を手がけて且つそれによって企業価値向上が期待される企業に厳選投資するファンドの設定・運用を開始しています。米国NLGIAは、北米企業のSDGsに関する取り組みを分析・評価し、ニッセイアセットマネジメントへ情報提供を行っています。このファンドには、日本生命グループ全体として、SDGsに取り組む企業への投資を通じて、持続可能な社会の実現に貢献したいという想いが込められています。

米国NLGIAには多くの外国人アナリストが在籍しており、投資先企業と日々ミーティングを行っています。SDGsについてより本質的な議論を行っていくためにも、SDGsへの「腹落ち感のある」理解を深めていきたいと考えていました。

そこで出会ったのが2030SDGsカードゲームです。すでに日本生命の東京オフィスやニッセイアセットマネジメントでカードゲームが実施されており、非常に有意義だったと伺っていて、何とかニューヨークでも開催できないものか・・・と考えていたところ、イマココラボ様が海外で初めてワークショップを実施するという幸運なタイミングに恵まれました。またかねてより交流のありました、国際連合日本政府代表部の星野大使、加藤参事官など社外からゲストもお呼びして、総勢20名で受講しました。

 

振り返りでチーム内で真剣に議論する様子

国際連合日本政府代表部の星野大使

 

実際に研修・イベントを行ってみた率直な感想は?

このカードゲームは日本で多くの企業・団体様から好評だったと聞いていたので、非常に楽しみにしていましたが、今回参加した外国人アナリストからも、参加して良かった!との声を多く聞くことができました。ゲーム形式でのSDGs研修は非常に興味深かった、他の米国企業も実施していくべきだ!と言う人もおり、参加者の満足度はかなり高かったです。

カードゲームを通じて和気あいあいとしたコミュニケーションが広がったことで、国籍やバックグラウンドに関わり無く自由に議論を深めていくことができたと思います。振り返りの時間には米国企業の実際のビジネスケースを取り上げた上でディスカッションを実施し、我々の今後の企業分析にも示唆のある有意義な時間になりました。

 

研修・イベントで印象深かった出来事、シーンは何ですか?

カードゲームはシンプルながら大人も楽しめるもので、前半は各自の目標を大きく超えて達成しているチームもあり、大いに盛り上がっていました。

中間発表直後の世界の状況メーター

 

ゲーム中は、ホワイトボード上に経済・環境・社会のリアルタイムの状況を示す「世界の状況メーター」が常に参加者に開示されています。前半が終わると、各自が自分の目標だけを追求したために、「社会」や「環境」を犠牲に「経済」のみが発展した歪な「世界の状況」が現れました。盛り上がっていた参加者がこれに気づいた途端、急に静まり返ってしまったことが非常に印象的でした。

この反省を受けて、後半は「環境」や「社会」の回復に向けて、参加者全員で協力して取り組む動きが自然と生まれました。世界の状況に対する危機感の共有が、参加者の行動を変えた様子を目の当たりにした劇的な瞬間でした。

現実の世界も同様で、SDGsの実現には社会の参加者一人ひとりが協力して行動していかなければなりません。そのためには、このカードゲームのように、世界の抱える課題を「見える化」して共有していくことが必要です。米国NLGIAではアナリスト達が投資先企業とのミーティングを実施していますが、このような場での議論を通じて、投資先企業、投資家である我々の双方で課題を共有し、SDGsの達成に向けてそれぞれ何ができるかを常に考えていくことが大切なのだと、改めて痛感しました。

 

参加者の方のコメント、アンケートで印象深いものは何ですか?

「環境や社会への危機感を共有してから、参加者の行動が大きく変わったことが印象的でした。この行動の変化はまさにESG投資家に必要な観点だと思うので、大切にしたいです。」

「SDGsの実現には、社会全体での課題意識の共有が必要だと強く感じました。この意識を常に持ち、投資先企業とのミーティングに臨んでいきたいです。」との声が聞かれました。

「個人の何気ない普段の行動も、回りまわって環境や社会に思わぬ影響を与えることがあると知りました。SDGsには17のゴールがありますが、一見関係の薄いそれぞれが実は互いに影響しあっていることにも気づきました。想像力を働かせていくことが大事だと思いました。」「SDGsの達成に向けて個人としてできることが無いか考えていきたいです。」などの声もあり、業務を離れての一個人としての気付きが得られたことも良かったと思います。

「現実世界には世界の状況を皆がリアルタイムで把握できる、ゲーム上のホワイトボードに相当するものがありません。SDGsの実現のためにも、投資家としてのあるべき姿を考えていく上でも、課題意識をリアルタイムで共有できる「何か」を本当に皆で作っていくことが必要だと思いました。」といった、広い視点でのコメントもあり、SDGsに対してより深く考えてもらう良い研修になったと感じました。

 

ファシリテーターの話を真剣に聞く様子

 

最後にひとことお願いします!

カードゲームを通じて、一人ひとりがSDGsの達成に何が必要かを肌で感じ取ることができたと思います。また、SDGsの達成は社会全体での協力が必要であること、その意味では事業会社だけではなく投資家側の意識の変革も必要だと改めて痛感しました。今回の研修をひとつの糧として、日本生命グループとして資産運用を通じたSDGsの貢献に今後も引き続き取り組んで参りたいと思います。

インタビューに答えてくださった方:
Nippon Life Global Investors Americas, Inc.
株式運用チームヘッド 加藤 裕之
ヘッドオブESG & 株式リサーチ Sasmit Dwivedi 株式アナリスト 中川 大輔