【SDGs社内浸透事例】体験を通じた腹落ち感 ~ 某メーカーのSDGs浸透への第一歩 ~

この事例はある上場企業の大手メーカーがSDGsを事業の中心に据えていくため、現場への浸透の一手としてSDGsカードゲームを使ったイベントを行ったものをまとめています。

経団連が会員企業向けの行動指針「企業行動憲章」にSDGsの理念を取り入れるよう改定するという流れの中、経営を後押したこともあり、このメーカーではSDGsを事業の中心に据えていくことが決まりました。

そんな中、若手のCSR担当の方は改革のうねりをボトムアップでサポートしていきたい、とのことで2030SDGsカードゲームが何か社内で使えるのではないか、ということでイマココラボの体験イベントに来てくださいました。

カードゲーム体験後、「ぜひ、うちのCSRイベントでやりたい」とのことでこのプロジェクトがスタートしました。

ただし、一担当者がカードゲームを社内で行うということはかなり大変なことです。SDGsとはいえゲームなのでゲームが企業で有益なのか、との疑いや議論が必ず起こります。

このカードゲームの特徴は体験してみないとその良さが分からない、伝わらない、ということです。

そこでまず、企画サイドの方々と今後関係しうる方々、つまりCSRだけではなく、人事、経営企画など、今後社内でSDGsを広める時に関わりうる方々に集まっていただき体験会を行うことになりました。特に経営企画という社内全体の方向性を見ている部門と人材育成という観点で予算を持っている人事を巻き込むことで、全社展開などになった場合に効果的だからです。

一般的に体験会では、2.5時間の標準的なカードゲームと振り返り、およびビジネス事例の紹介をします。ビジネスの文脈でSDGsを伝えるためにはビジネスの事例が一番パワフルだからです。特に2017年になってからのビジネス文脈のSDGsに関する変化の波は大変大きく、社内にいると気づけないような事例も大量に出てきているため、事例を伝えることがビジネスとSDGsのブリッジをする上で大変効果的です。

また、SDGsカードゲームをベースにした振り返り方法は、大変柔軟性が高いため、その企業が伝えたい文脈やメッセージにカスタマイズが可能であり、その企業のニーズを洗い出すためにも体験会が大変重要になります。

この企業でも体験会を行いました。その結果、「うちの会社ではSDGsではないが〇〇という理念のもと社会貢献活動は随分昔から行っているため、その理念を基盤にした上でのSDGs、というメッセージにしたい」、「自分たちの今の仕事がどうSDGsにつながりうるのか、ということを理解する流れにしたい」などという声が上がりました。

さらに、CSR主催とうたった瞬間に「またCSRがいい事だけどビジネスに遠いことやってるよ」になる可能性があるので「CSR」は全面に出さず、カードゲームの楽しそうな感じを告知文に入れることにもなりました。

このポイントはとても重要で、なぜSDGsをカードゲームを使って伝えているのかと言うと、いくらSDGsが大切だと知識で学んでも、その必要性が腹落ちしないと行動変容にはつながらないからです。体験することで腹落ちがおこる、楽しかった、というポジティブな感覚を共に振り返りを行うことで、主体的な意識で関わることになり、そこにこそ行動変容の可能性が生まれます。

最終的に、ビジネス文脈をより強調するために、ESG投資に力をいれている投資家の講演も冒頭にいれることになりました。ちなみにESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの分野に整理し、ESGに配慮した投資のことで、SDGsを投資家側から見たものです。

いよいよ本番です。

CSRのイベントは過去50人集まれば十分だったようですが100人以上の方が集まりました。やはり「カードゲーム」の告知をタイトルに入れたことが楽しそうだという雰囲気が伝わったのだと思います。

ここまで引っ張ってきたCSRの若手担当者がちょっと緊張気味で100人の前でオープニングのスピーチをします。一緒に企画会議を何度も重ねこの場を迎えることが出来たので、見ているだけで感無量です。

オープニングが終わり、投資家の観点から見たSDGsやESG投資の動向の講演です。我々の年金を運用している世界最大の資産を持つGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の120兆円がSDGsやESGを推進している企業に投資されているというリアルな話、さらには企業がいまここに投資していかない場合大きなリスクになる、という話はとてもインパクトがありました。

いよいよSDGsカードゲームです。

SDGsカードゲーム全体の流れは、全体の半分がカードゲームで、カードゲームを通じて体験したことを振り返り、気づき、腹落ちしていくことが残りの半分になります。カードゲームの中で起こったことと現実社会の組織や会社、社会での出来事を結びつけ、そこから生まれる気づきによって腹落ちにつながります。

カードゲームそのものの事例はここの事例報告が分かりやすいので、ここでは省略しますが、カードゲームは本当にパワフルでした。さらに振り返りで多くの気づきが生まれていましたので、特に企業文脈で出てくる声をアンケートから一部抜粋します。

振り返りでの気づきの声:

「なぜ今SDGsが必要なのかということがよく理解できた。ビジネスの力で世界を変えていける可能性を感じた」

「自社の目標達成も重要だが社会をよりよくする視点を持つことで世界が変わり得ることが体感できた」

「CSR活動の話かと思っていたら、ビジネスの話で自分たち自身が考えて行かなければならない逃げられないテーマだと認識できた」

「そんな世界がいつか来るだろうとある意味他人事で考えていたが、今やらないと企業リスクになることが分かった。逆に今やることがメリットにつながるとも分かった」

「インドが2030年までにすべてをEVにすることから自動車業界の流れが一気に変わってトヨタすら戦略を変えざる得ないレベルで動いているということは正直驚きだった。」

「自分の目標を伝える、相手の目標を聞く、状況をちゃんと理解し合うことで協業が可能になることが分かった。まさに自分たちの組織で起こっていることがそのまま出てビックリした」

一方で「自分の仕事がSDGsにどうつながっているか分からない」「現実社会はゲームとは違っていてこんなには上手くいかない」などという声もあり、この声は実際に出てきます。

このような声に対してもちろん、真摯に受け止め対処していくことは重要であり続けていきたいと思っていますが、SDGsのような壮大なコンセプトのもと、企業として利益を上げながら持続可能な社会を作ることにチャレンジし、その結果世界をよりよくしていくためには、志が高い人と共に進めることが効果的であることも事実です。

好意的に受け止めていない人に対してもこのイベントを通じてSDGsという波がビジネスに押し寄せているということが伝わっているため、もっと大きな号令が社内でかかった時に動ける状態になっているとも言えます。

CSRイベントに関しては、参加者の98.8%が満足という大成功に終わりました。

イベントの大成功の結果を受け、経営にも好印象を与えることに成功し、経営企画や人事も巻き込み、選抜されたメンバーに対してフォローアッププログラムが行われることになりました。自社のSDGs事例の洗い出し、それをどうやって社内に事例として展開しSDGsを浸透させるか、ということを4回の半日ワークショップで行うことになりました。(このフォローアッププログラムの記事は別途掲載予定です)

SDGsの17の目標や169のターゲットを1つずつ学ぶことは重要なことではありますが、実際には169のターゲットを1つずつ理解しようとすると相当難しく、SDGsに日々関わる人以外はモチベーションが続かないかもしれません。
そのため、このような内容はいきなり学ぶよりも楽しい、なるほど、という体験を通じてこそはじめて学びが起こり、その結果として本当の変化に繋がります。マルコム・ノウルズという教育学者がアダルトラーニングに必要な4つの要素の1つに「経験すること」を上げています。確かにいくら他人からいわれても、自分で経験して腹落ちしないと、結局は行動にはつながらないですよね。

また、SDGsに限った話ではないですが、何かを成功に導くためには、結局は起点になる人、今回の場合は若手のCSR担当者の方の想いがどれだけ強いかにかかるのだな、ということは改めて感じたプロジェクトでした。

このようにして企業の中でもSDGs旋風は起こり始めています!!

 
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