バナナペーパーという選択〜1枚の名刺で世界とつながる

あのバナナから紙ができる?

 皆さんは「バナナペーパー」をご存知でしょうか?

「果物のバナナ? バナナが紙になるの?」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
そうです、あのバナナから紙が作られているのです。もっとも、実の部分から作られているのではありません。
収穫後、切り捨てられる茎から取った「バナナ繊維」を原料として作られています。
日本の和紙を作る技術を活かして生まれた、とても質の高い紙です。

 

バナナペーパーは日本の製紙業界で初めて「フェアトレード認証(WFTO(世界フェアトレード機関)の認証)」を取得しています。
また、SDGs(持続可能な開発目標)の17個の目標の達成にもつながっています。

イマココラボでは、このバナナペーパーを使った名刺が作成できると聞き、再生紙からの切り替えを検討しました。
まずはバナナペーパーがどんなものなのか知ろう!と調べていったところ、とても興味深い取り組みを知ることになりました。

村を変えた紙

 イマココラボが採用したバナナペーパーが作られたのは、アフリカのザンビアです。野生動物が自由に歩き回る豊かな自然環境に恵まれています。一方で、貧困が問題になっている国でもあります。

ザンビアの平均寿命は62歳で、世界の平均が70.2歳※ですから、比較的若くして亡くなっている方が多い国だということがわかります。その原因の一つが貧困です。

安全な飲み水や栄養のある食事が手に入りにくく、病気になっても病院に行けず治療も受けられません。仕事と収入が足りておらず、子どもは学校に行けません。こうした状況は人々の暮らしだけではなく、野生動物の密猟や森林の違法伐採など、環境に悪影響を及ぼす行為にもつながっています。
※WHO加盟国194の国と地域を対象とした調査より(2019年時点)

 バナナペーパーの製造事業は、そんなザンビアの村で新たな雇用を生み、生活が安定することで子どもが教育を受けられる余裕が生まれ、電気が通り 、安全な水が村に提供できるようになりました。事業を中心としたインフラや雇用環境の整備が、村の人が健康な生活を送るための手助けとなっています。しかも、紙の製造に使う原料は、今まで捨てるだけだったバナナの茎が利用されるというアップサイクルが実現されています。バナナの茎は伐採しても1年で新たに生えるため、ザンビアの森林や生物の多様性を壊すことなく絶滅危惧種の生息地を保護できていますし、貧困から手を染めざるを得なかった密猟者を事業で雇用することで貧困から救い、結果的に減らすことができています。

バナナペーパーが村を変えたのです。

 

環境の負担を減らす活動より、良い活動を増やす

 バナナは世界の約125ヶ国で栽培されています。通常はバナナ畑に農薬を使うため、化学物質の影響下で栽培されています。しかし、バナナペーパーに使うバナナはオーガニックな環境で育てられ、働いている人の健康も阻害せず、自然環境にも負担をかけずに栽培されています。

このバナナペーパーを開発した株式会社ワンプラネット・カフェのペオ・エクベリさんは、「環境に優しいのではなく、環境に正しいことをやりたかった」、「環境の負担を減らすということだけではなく、環境に良いものを増やすことが大切だ。」とおっしゃっていました。
再生紙はリサイクルによって新たに木を切る森林伐採を減らし、環境への負担を減らす行為ですが、バナナペーパーはこれまで廃棄されていた茎を使うため、ゴミを減らすという、環境に良い循環であると言えます。環境に良い活動を増やす動きと言えます。

ペオさんの出身地スウェーデンで提唱されている【環境循環のルール】を守ったうえで、正しく良いものが新たに創られているんですね。
この環境循環については詳しく知りたいね、とイマココメンバーで話していて、今後、更に学んでいこうと社内で盛り上がっています。


写真右端 ペオ・エクべリさん

1枚の名刺からはじまる一歩

 イマココラボは 【社会の変革は一人ひとりの意識の変容から始まる】と考えています。

今までごみとして捨てられていたバナナの茎から紙を作るというのは、ザンビアの人々にとっては信じられないことだと思われていました。それが実現すると、ザンビアの村の人々の一人ひとりの意識の変容が起り、その結果、村全体という社会が変革している在り様がまざまざと見られます。こうした取組みを応援していくことは、世界の変容を起こす小さな一歩だと考えています。

バナナペーパーはまだ流通量が少なく、街で見かける機会もあまりありません。しかし、ワンプラネットペーパー協議会加盟の印刷所では名刺を作ることができます。もしよかったら、名刺での利用を検討してみてはいかがでしょうか。

このバナナペーパーの名刺を使うたびに、私たちは社会問題の解決という良い循環につながることができます。
1枚の名刺から、大きな可能性が広がっています。

これを読んでくださったあなたが、イマココラボのバナナペーパーの名刺を受け取られたら、あなたが起点になってできることへの可能性に想いを馳せていただけたらと思います。

 

ザンビアの写真は全てワン・プラネットカフェさんからお借りしました。ありがとうございます!