【自治体・官公庁導入事例】横浜市がSDGsカードゲームで職員研修を実施

2017年8月28日、横浜市役所にてSDGsを知り、理解を深めるための研修を開催いたしました。

「環境未来都市」として、みなとみらい2050プロジェクト、持続可能な住宅地モデルプロジェクトなどの取り組みが注目されている横浜市。今回の研修は、市の環境創造局をはじめ関係部局から職種も職位も様々な42名の方々が参加されました。

今回の研修を主導されたのは政策課環境プロモーション担当課の小川久美子課長。今回の研修の導入意図について次のようにお話くださいました。

「現在横浜市でも、SDGsに準じた環境管理計画を作っていますが、自分の部署に関連するものはもちろん、それ以外の社会課題についても知り、課題全体を俯瞰して見るまなざしが必要だと思っています。カードゲーム2030SDGsを通じて、様々な社会課題に触れる体験をしてほしい。そして、今日集まった人たちが、それぞれの現場でインフルエンサーになっていってくれることを期待しています。」

ゲームを通して社会課題相互のつながりを体感し、社会全体を俯瞰する視点を持つことをねらいとして、2030実施させていただきました。


研修会場は、国の指定重要文化財でもある横浜市開港記念館

2030SDGsとは?

2030SDGsは、SDGsの目標を1つ1つ細かく勉強するためのツールではありません。「なぜSDGsが私たちの世界に必要なのか」、そして「それがあることによってどんな変化やメリットがあるのか」を体験的に理解できるゲームです。

SDGsという言葉を聞いたことがない人やあまり興味関心がない人でも、ゲームが持つとっつきやすさと面白さで、知らず知らずのうちに熱中し、楽しみながらSDGsの本質を理解することができます。

全体がひとつの「世界」となり、その中で各プレイヤー(今回は2人1組のチーム)がカードによって示された「人生のゴール」の達成に向かって活動するカードゲームです。

まずはじめに、ファシリテーターの稲村からガイダンスがありました。

「ゴールの達成のために、かかる時間とお金、意志(やりがいや経験値など、人の内側にある資源を表したもの)を用意して、プロジェクトを実行していきます。みなさんがふだん行なっている、予算の策定と実行、というのと同じ流れです。」

プロジェクト実施には必要な「お金」や「時間」などの条件が設定されていますが、カードとは別に設定されている重要な条件に「経済」(青)、「環境」(緑)、「社会」(黄)の状況を示す「世界の状況メーター」があります。メーターは、ホワイトボードにマグネットを貼って示しています。プロジェクトを実施すると、プレイヤーが新たにお金や時間や意志のカードを獲得すると同時に、「経済は+1」「社会は−1」というように世界の状況メーターにも変化が生じる、というしかけになっています。たとえば、交通インフラを整備すれば経済活動は活発になりますが、自然環境には損失が生じます。ホワイトボードに貼られたマグネットの数の変動は、プロジェクトが及ぼす社会の変化を示しているのです。

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また、ゲームの中には、全体の状況を視野にいれながらプレイしていくための、大事なしかけがあります。
「プロジェクトのカードを見ると、『緑が3以上』のように、プロジェクト実行のために必要な社会の状況が設定されています。現実社会でも、ある程度社会基盤が整っていないと事業は進められない。それと同じことです。」(稲村)
なるほど、という声が会場から上がります。

 

盛り上がるゲーム、そして振り返り

通常は、会場全体を1つの世界として実施するのですが、今回は人数が多いため、全体を2つの「世界」に分け、ゲームが始まりました。開始早々、会場のあちこちで交渉の輪が広がりますが、中には「実行できるプロジェクトがないなあ」と手が止まっているチームもあります。

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前半10分を終えたところで、場の状況を俯瞰する時間を取りました。

この時点で人生のゴールを達成しているのは22チーム中13チーム。社会の状況メーターはどのようになっているのでしょうか。ファシリテーターの稲村からフィードバックが入ります。

「経済の状況は順調です。環境の状況は、あと一歩の努力が必要、というところですね。現実社会でいうと、パリ協定で各国が結集した結果、CO2は増え止まっているけれど、森林伐採は依然として行われている、といった状態です。社会の状況については、例えば貧富の差はおしなべて改善しつつあるものの、地域によっては財産権の制限のような根強い男女差別が残っていたりする、といった感じです」

フィードバックを受け、後半の16分では、チーム単位での交渉から、チームを超えて全体でのやりとりへと変わっていく様子が見られました。世界の状況メーターを見ながら、世界全体に残っている「お金」「時間」「意志」の資源を確認しあい、実行可能なプロジェクトを探っています。自分のプロジェクトを達成するという目的を超え、視点が「世界全体」へと広がっていることが伺えます。

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結果、後半終了までに全チームが人生のゴールを達成し、振り返りに入りました。

「前半と後半それぞれで、何を意識しながらやっていたか」「自分たちの行動が社会のバロメーターに及ぼした影響は何か」といった問いかけをもとに、チームごとで話していきます。

<環境保護の闘士>に取り組んだチームは、ゴール達成の難しさについて話しています。「プロジェクト達成にはお金も時間もすごくかかるのに、対価としてもらえるカードは少しずつで。環境のことは、時間もお金もかかるし、ゆっくりとしか変化しないんだなあ、と改めて思いました。」

<大いなる富>に取り組んだチームも、現実の世界との類似点について話が弾んでいます。
「プロジェクトやゴールを達成したら、余った時間やお金を他のチームと分かち合っていけばよかったな、と思います。前半はなかなかそれができなかった。」
「富の限界を知らずにどんどんためこむと、他に回らなくなる。これは、現実世界でも起きていることなのでは」

様々な気づきを分かち合った後で、ファシリテーターからの投げかけがありました。

「今日ゲームで扱った17の課題は、一見すると個別のものに見えます。しかし、実際にはつながっている。実は、テーマも人の連携も含め、ワンパッケージで考えていくのが一番効率がいいとされています。17番目の課題は『パートナーシップで達成しよう』。個の力には限界があることを、この課題は示しています。」

社会の課題をワンパッケージで考えていくためには、目指す目標を見える化し、共有することが必要になります。SDGsはその課題を見える化するためのメーターであり、共有することが、ひとりひとりの行動を変えるきっかけになる・・・世界全体で課題を共有し、連携して行動するようになっていったゲーム後半の変化が思い出されます。ゲームを通じ、ご参加のみなさんは、世界全体で考えていくことの価値を体感的につかんだのではないでしょうか。

 

研修を終えて

2時間強の研修はあっという間に終わりました。ゲームに加えて現在世界で起きているさまざまな事例の紹介など、体感と知識学習がほどよくまざった、研修となりました。

以下ご参加いただいた方々のアンケートからいくつかご紹介させていただきます。

  • 講義形式ではなくゲームの形で学ぶことができ、とても興味深かったです。情報を共有することが、よりよい社会の実現に大切で、そのために、橋渡しやコーディネートする人が必要だと気づきました。自分の行動につなげられたらと思います。
  • 頭でわかっていたようでわかっていなかったSDGsの意義・必要性が、数十分のゲームをすることで自分の中でストンと落ちて一気に理解できたことに驚きを感じました。
  • 楽しみながら理解を深めることができました。事例も最近のものが多く、常に研修内容を見直されている印象でよかったです。
  • 仕事の中でSDGsやトリプルボトムラインといった言葉を聞くようになったが、自分たちの仕事にどう取り込めばよいか、考え方のヒント・手法を教えていただき、大変有意義でした。
  • ゲームを使って楽しみながら理解を深める内容構成で、最後まで関心を持ちながら研修に取り組むことができました。
  • SDGsを身近に感じることができる貴重な経験でした。今回の目標はまさに”体感する”ところにあったと考えています。理解し、施策・事業に反映させる、SDGsの観点で施策を評価する手法や新たな着想を掘り起こす方法など、その次のステップに進めるような研修があるとよいな!と感じました。

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