イオンリテール 745人の新入社員へSDGsの本質を学ぶオンライン研修を実施
本州(東北除く)・四国に396店舗を展開する、イオンリテール株式会社様の新入社員745名へ向けたSDGsの本質理解のための研修を実施しました。
人材育成部 部長 吉田元様にインタビューをさせていただき、研修のご感想、受講者の変化やお気づきの点について伺いました。
どんな想いや背景から、この研修・イベントを企画・実施しようと思ったのですか?
想い
主に2点あります。
①いち社会人として、自らを取巻く環境へ関心を抱き、
まずは情報収集をする習慣を身につけて欲しい。
自らを取巻く環境について常にキャッチアップし、尚且つ、自分ゴトとして捉えることができるようになって欲しい。
具体的には、入社後配属される売場で扱う商品、商品の魅せ方、店舗全体のセールス等、自らの業務に引きつけて自ら考え、行動ができる人材を育成していきたい、と考えました。
現在の状況で言えば、原材料価格の高騰により、商品の価格が上がっていくそれは、ある日突然そのような現象が起きるのではなく、世界情勢等を日常から情報のアンテナを立てていれば、現在起こっていることから、少し先に起こり得ることであろうことが予測できる。しかしながら、このような予測ですら、日常で習慣づけられていく思考のトレーニングをしないと身につかない。社会人として、新聞等を読みましょう、などの手段を提示するのではなく、まずは、自らが「なるほど、このような分野の情報にアンテナを立てていくことが大切だ」と必要性を感じてもらいたい、その上でどのような手段で自ら情報を取りに行くのか、を考えたら良いと考えています。さらに欲を言えば、自分の関心がある分野だけでなく、関心の程度の差が多少あったとしても、(環境、社会、政治、経済・・・等)視点のヌケモレを、できる限りなくすことができないか、を考えました。
その際に、「まさに、今この世界で起きているあらゆること」への関心をもつアンテナ立てるきっかけとして、SDGsを切り口にしてまずは、自らを取巻く環境へアクセスし続ける習慣を身につける第一歩としていきたいと考えました。
②イオンピープルとして、自社に誇らしさを感じ、この企業で働いていこう、と思い、イオンピープル人生をスタートして欲しい。
イオングループの基本理念は、個人的には、SDGsとの親和性が高いと感じています。当グループでは、基本理念のもと、SDGs採択以前からサステナビリティを推進し、CSR活動に取り組んできています。
□一例 グループとしての社会貢献活動
社会の取り組み|イオンのサステナビリティ|イオン株式会社 (aeon.info)
これらの活動は、各店舗で身近で気軽に参画をすることができ、お客さまとともに取組むことができます。
このような活動の場の最前線の店舗で勤務をすることにワクワク感を感じられるような気持ちを持ってもらいたいと感じました。クリーン&グリーン活動=単なるごみ清掃活動として捉える思考ではなく、グループの基本理念への共感、SDGsの視点からみても、意義ある活動だと、捉えることができる思考を身につけてもらえたらとも考えていました。
また、各店舗の主役である、商品1つひとつについて、担当売場の商品への関心を高め、商品、業務知識を高めるきっかけとしても、SDGsの視点でも、物事を捉える思考が身につけて欲しい、とも感じていましたし、自社製品であるトップバリュについても、ナショナルブランドよりも、ただ、【価格が安い】などの表面的な情報だけを捉えないような人材になって欲しい、とも感じていました。
これらの社会貢献活動や、自社製品の製造、販売を、グループとして実行していくことで、非常に大きなインパクト、例えば国内外各拠点のハード面=店舗施設であるエコ仕様であったり、継続的な取組ができる組織体制であること・・・等を、新入社員が「イオンって結構イイ感じ」「イオンって結構ヤルじゃん」というような、イオンピープルになる自分自身に対して、誇らしさを感じてもらえるようになって、イオンピープル人生をスタートして欲しいと感じていました。その理解へのかけはしとして、SDGsの本質理解が有効であると考えていました。
実際に研修を行ってみた率直な感想はいかがでしたでしょうか。
内容面
社内講師ではなく、外部講師に講義を頂けたことに大きな意味があったと感じています。企画時からの想いとして、「イオンのSDGsの取組」の紹介だけで終わらせず、まずは、いち社会人、いち地球人として自らを取巻く環境への関心を持って欲しいと考えていました。研修でSDGsの本質を外部講師にインプットをして頂けたことで、新入社員の視点が【イオンから見たSDGs】ではなく、【SDGsの視点で見たイオンの取組】として、客観的に俯瞰した大きな視点で捉えることができたと感じています。
そして、わたくしどもの意図を超えていた点もありました。それは、講師の方から「イオンピープルとしての自分ができること」をテーマに対話が進んでいるグループがいくつもあったとフィードバックを頂いたことです。今回の講義の前から実施していた新入社員共通プログラムの「イオンピープルとしての価値観の共有」を学んだ基礎を経て、今回のSDGsの講義を導入していましたが、SDGsという世界共通の課題理解、広い視野まで広げてなお、イオンピープルとして、自分ゴトとしての発言が見受けられたことは非常に頼もしく感じております。
運営面
もう少し早い時期で当社からの研修実施依頼をさせて頂いておりましたら、意見交流のグループワークにプラスし、リアル対面時の研修で実施頂いたような「カードゲーム」的な要素も取り入れて頂いて実施頂くこともできたかもしれない、という点は次年度に活かしていきたいところです。
研修で印象深かった出来事、シーンはありましたか。
いわゆるZ世代は、SDGs等に、そもそも関心が高く、よく学習、理解をしている、という印象を持っていましたが、熱心に講義を受けている姿、そして強く反応を示している所を見て、言葉としては理解し、情報は得ているが、自分に引き寄せて考え、自分ゴトとして捉える機会は乏しかったのだろうと感じました。やはり、社会、そして仕事とのつながりの中で、理解を深めていく機会を作っていくことが企業の責任であると改めて感じました。
参加者の方のコメント、アンケートで印象深いものは何ですか。
参加者の感想(抜粋)
- 他の誰かが行動するのを待つのではなく、自分から行動していくことが大事である。
- 自分1人が取り組んでもあまり意味がないと思っていたが、一人一人が変わらないとその集合体である社会は変わらないと気付いた。
- ちょっとしたことの積み重ねや多くの人の行動が未来を変えられる。
- 地球規模の成果を生み出すには一人ひとりの小さな行動の積み重ねが大切であると感じたことです。
- SDGsは自分一人の力でどうにかなる問題ではないが、一人ひとりが当事者意識を持たないと変わらない問題でもあるので、自分が動くとともの周りにも働きかけることが必要だと学んだ。
- 私たちは小売業として、お客さまに環境に優しい選択肢を提示することができるということ。
- 影響力の大きな企業だからこそ、人に与えられる良い影響もあれば、悪い影響もあるということを重く受け止めていきたいと感じた。
- 消費者としての自身の行動ひとつひとつが持続可能な社会づくりに少なからず影響を及ぼすことを知り、自分の意識が変わったと同時に、自分も人にそれを伝えていかなければいけないと感じるきっかけとなったため。
- 一個人としてではなく、企業としてできることを考えることもとても大切。企業だからこそ影響力が大きくなる。
- これから一生付き合っていく問題だと思った。
- 世の中の出来事は決して他人事ではないということで、自分ごととして考えていかないといけないこと。
- 1つ1つの項目が繋がりあっていることに気が付いた。難しいものと考えずに当事者意識を持ってやっていきたい。
- SDGsは達成することが目的ではなくあくまで世界を変革するための手段であるという点が印象に残りました。
- SDGSとはゴールではなく、全く新しい世界への過程という言葉が私に新しい価値観を与えてくれました。
御社にとって、“我々の世界を変革する”とは何ですか
『イオンは、日々のいのちとくらしを、開かれたこころと活力ある行動で、「夢のある未来」に変えていきます』こちらのイオン宣言を実現していくために、今世界で起こっていることを見つめ直し、これまで当たり前とされていた大前提をまさしく変えて、改めてゆくこと。我々が変わることによって、世の中、社会がより良い方向に少しずつ変わっていく、変えていくことだと思います。
この記事を読んでいる読者の方にコメントをお願い致します
「最近の新入社員は『紙で新聞を読まないのでは!?』」部内のこんな会話がこの研修を導入する始まりでした。
毎年の新入社員研修で“当たり前”のように指導をしてきた新聞紙を毎日読みましょうという声かけ。デジタル社会の今の時代は、Webで読んでも良いのではないのか?いや、そもそも、新入社員に毎日、新聞を読むことを口酸っぱく伝えているのは何故なのか?“当たり前”を改めて、考えました。
新聞を読ませることが目的になっている、そんな気づきがあり、新聞へのこだわりを横に置いてみたら、貴法人に辿り着きました。
SDGsを切り口にした視点から「まさに、今この世界で起きているあらゆること」を観ることを提案してみる。
小売業という仕事は、製造、物流、販売、店舗建設、維持等の店舗運営等、あらゆる場面で、まだまだ取り組んでいくべきことがある、と新入社員達は、今後の業務の中でたくさん見えてくることと思います。その時に是非、“自分たちの会社は間違いなく社会に貢献をしている。だから誇りをもって仕事ができる」と考えて欲しい。そして何よりも、イオンリテールが目指すお客さま満足の実現に向けて、彼ら、彼女らは、常に自ら考え、行動できるようになっていけるのではないか、と大きな手応えを感じた新たな取組みとなりました。
最後にひとことお願いします!
「Transforming Our World(我々の世界を変革する)」の視点から、新入社員が、長期的に、根元的に、多角的に、ものごとを考えていくための「気づき・刺激」を大いに与えて頂き、ありがとうございました。この刺激を絶やさぬように、社内でも折に触れて刺激し続けていきたいと思います!
コメントをいただきありがとうございました。
- イオンリテール株式会社
- 人材育成部 部長
- 吉田 元様
- イオンリテール株式会社
- 総合小売業
- 従業員数 77,754人(2021年2月末現在)