7月と9月、HLPF(SDGsの進捗レビューを行う国際会議)が開催されます
7月、持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム(HLPF)が開催されます。 br>
今回はHLPFについて少し書いてみました。
HLPF(ハイレベル政治フォーラム)とは
HLPFは、SDGsの実施に関し、政治的リーダーシップや指針、提言を提供するためのグローバルな話し合いの場です。 br>
SDGsの実施面で何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを検討し、SDGsのビジョンを実現するために役立てることが目的。
この話し合い=HLPFの存在は、SDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)本文にも br>
「全世界レベルでのフォローアップ・レビュー・プロセス・ネットワークの監督において中心的な役割を果たす」 br>
ものとして、明記されているのです。
HLPFは毎年、経済社会理事会のもとに開催されていますが、4年に一度は国連総会のもとに首脳レベルでも開催されます。 br>
つまり毎年開催されるHLPF=閣僚級フォローアップと、4年に一度開催されるHLPF=首脳級フォローアップの2種類があります。
その4年に一度が今年にあたり、2019年は、2015年9月にSDGsが採択されて以来、SDGsに関する最初の国連サミットになります。
毎年行われているHLPF(閣僚級フォローアップ)は、各国が自国の取り組みについて、グローバルな場で自発的に報告する公式な場というだけではなく、政府、ビジネス、市民など多様な主体がスペシャルイベントやサイドイベントを催すなど、SDGsに関する年に一度のグローバルな祭典となっているそうですよ。
前回は2018年7月末に行われ、閣僚宣言において
「SDGs のいくつかの目標やターゲットにおいて進捗があったが、この野心的な目標を期限内に達成するペースにはなく、国や地域によっても一様ではない。
我々は、緊急にあらゆるターゲットについて、特に 2020 年を目標達成期限にしているターゲットについて進捗を加速させなくてはならない」と総括されました。
(昨年の様子について、国連広報センターの方がブログに書かれています。
HLPFそのものについても詳しく書かれていますので、より詳しく知りたい方はこちらのブログをご覧いただくとよいかと思います。
https://www.unic.or.jp/news_press/info/30861/)
今年のテーマは「人々のエンパワーメントと包摂性と平等の確保」
今年、7月9日~18日に開催されるのは、毎年行われている閣僚級フォローアップ。
期間中の前半はテーマ別のレビューが行われ、後半16~18日の3日間は、閣僚会議が行われます。
そして9月24日と25日に首脳級フォローアップ、州政府と政府首脳がニューヨークの国連本部に集まり、SDGsの実施における進捗状況をフォローアップし、全体的に検討する予定です。
今年のHLPFのテーマは「人々のエンパワーメントと包摂性と平等の確保」。
詳細に検討するゴールは次の6つと発表されています。
- 目標4.質の高い教育をみんなに
- 目標8.働きがいも経済成長も
- 目標10.人や国の不平等をなくそう
- 目標13.気候変動に具体的な対策を
- 目標16.平和と公正をすべての人に
- 目標17.パートナーシップで目標を達成しよう
2018年の進捗として、今回テーマになっているゴールのたとえば4、8、13などは、以下のように報告されています。
(他のゴールについても毎年進捗が報告されています)
目標4 質の高い教育をみんなに
世界中の青少年の半数以上が、読書や数学の最低限の習熟基準を満たしていません。
教育の質を向上させるためには、集中的な努力が必要です。
ジェンダー、都市部 – 農村部の場所、その他の側面の線に沿った教育格差は依然として深刻であり、特にLDCs(後発開発途上国)においては教育インフラへのさらなる投資が必要とされています。
目標8 働きがいも経済成長も
世界的に労働生産性は増加し、失業率は減少しました。
けれど、以下についてもっと進めていく取り組みが必要です。
- 特に若者の雇用機会の拡大
- 非正規な雇用と労働市場での不平等の減少(特にジェンダー賃金格差の観点から)
- 安全で安全な労働環境の促進
- 持続的な経済成長のための、金融サービスへのアクセス改善
- 包括的な経済成長
目標13 気候変動に具体的な対策を
2017年はこれまでに記録されている中で上位3に入る最も暖かい1年であり、産業革命前の頃より1.1℃上回っていました。
世界気象機関による分析によると、2013年から2017年までの5年間の世界平均気温も過去最高を記録しました。
世界は、海面の上昇、極端な気象条件(これまでに記録された中で最も高い北大西洋のハリケーンシーズン)の増加、温室効果ガスの増加を経験し続けています。これは、気候変動に関するパリ協定へのコミットメントを実施する際に各国が緊急かつ迅速な行動をとることを求めています。
SDGsの採択から約4年、実効からは3年半が経ちました。
7月と9月のHLPFでは、2018年時点から現在までの進捗と今後に向けて、どんな話がされるのでしょうか。
来月から、4年に一度、初開催の9月の首脳級フォローアップまで含めて、注目したいですね。
上記以外のゴールの進捗や、HLPF当日の予定プログラムなど、詳細は以下のwebサイトをご覧ください。(英語)
https://sustainabledevelopment.un.org/hlpf/2019